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Town Spec Cargo Pants (Olive)


6ポケットカーゴパンツの発売を開始しました。

今回もデザイン、設計、縫製までの全行程を自社で行っています。

自社と言っても一人なので、偉そうで恐縮ですが。。

Dark OliveとNavyの2色展開ですが、Navyで使用する生地が在庫切れであった為、生地の再生産後に縫製して販売します。

服の制作は大きく二つに分けると、デザインした事を形にする技術を持っていて行うか、デザインした事を形にする技術は持っていないので、形にするのは外注して行うかの二つに分かれます。これは服の業界では当たり前の事なので気付いていなかったのですが、一般的にはそんなに知られていないようで勘違いされてしまう事があったので、一応書いておきます。

僕は前者なので、デザインを形にするにはどんな設計や縫製が必要か?逆に設計や縫製をするためにはどんなデザインが適正か?を盛り込んで毎回の製品説明をしています。

外見のデザインは前時代の定番米軍物仕様を参考にというか、ほぼそれらと変わりません。過去にこの形状のカーゴパンツを色々履いてきて、街履きを用途として捉えた時にシルエット、仕様でこうだったら良いなと考えていた箇所を修正し、街仕様としてのカーゴパンツを制作しようと考えていたのでTown Spec(街仕様)と名付けています。

4年程前にこのデザインで取り掛かり始めていましたが、TRU-SPEC、PROPPER、SESSLER-MFGなどの僕が履いていたアメリカのメーカー物は、インターネットで調べて頂ければすぐに情報が出ますが、新品でとても安い価格で販売しています。軍物は普通の服よりも仕様が多い為、布の量、縫製工賃が高くなり、人件費も含めると日本で生産した場合とても高額になってしまいます。自分もその価格では購入しないので制作していなかったのですが、縫製も自社で行う事により価格を抑えることが出来るようになったので制作に至りました。

Rip-Stop(裂け止め)仕様の綿100%の生地を使用しています。見た目より軽く、通気性も良いので夏場でも履いて頂けると思います。

何種類かの糸を使い分けて縫製していますが、メインは30番手のポリエステル糸で縫製しています。今回の生地の厚さであれば、60番手(中厚の生地に良く使われる)で良いのですが、30番手の方が強度があるのでそちらを採用しています。60番手に比べて30番手の方が少し太い糸と認識して貰えればと思います。

パンツの目に見える箇所にブランド名が分かるタグや、プリント等があるのは好みでないので何も印を入れていません。なので余計に軍物っぽいですが、以下でシルエット、パーツ毎に違いを説明していきたいと思います。

シルエットに関して米軍物は後ろヒップ周りがかなり大きくゆとりがあるように作られています。戦闘用としての運動量確保の為だと思いますが、街履きではダボつき過ぎると感じていたので、運動量は残しつつ少しシャープに設計しました。詳しくはDIY ARCHIVESより説明しています。

また軍物はレングス(股下寸法)が、かなり短めかとても長いかのどちらかが多く、個人的に丁度良い長さのレングスが無いと感じていたので、日本人体型向けにレングスを考えて設定しています。

パンツはレングスを決めてから股下から裾までのシルエット(テーパード等)を構築するので、丈直しをすると本来のシルエットとは変わってきてしまいますが、ほとんどの方が丈直しをしなくても良いくらいのレングス長になっていると思います。

上記の写真は僕が着用していた米軍官給品のカモフラージュカーゴパンツです。

このような形状のカーゴパンツには、お尻の部分に補強の為にもう一枚生地を縫い付けて二重構造(尻当て)があるものが多いですが、通常の生活の中では尻当てが必要な程の行為を行わないですし、あまり必要で無い割には縫製に手間がかかる仕様です。ヴィジュアル的にも昔から苦手でどうしても軍物っぽく感じてしまうポイントであったので尻当て無しで制作しています。

このように所々パーツを減らしているので、ミニ四駆の肉抜きのように全体が軽く仕上がってきます。

アメカジ愛好者の方々は軍物だから有り得る特殊な仕様が魅力に感じられているのだと思いますが、僕はそういった事に余り興味がないので、自分が東京で生活している中で感じる事に見合う服のデザインをしようと考えています。

前開きはボタン+セミオートマチックロック金属ファスナー開きです。

セミオートマチックロックとは引き手を下げた状態でロックがかかり、引き手を起こした状態でロックが外れるという仕組みになっています。パンツの前開きに超定番で使用されるファスナーで説明する必要もないのですが、ファスナーには全くロックがかからない物や、引き手を触っただけでロックが外れる物など、ざっと数えて引き手だけでも13タイプ程の仕様のファスナーがあります。

ファスナーのメーカーを沢山知っているよりも、どんな機能なのか。の方が重要だと思います。

ちなみにこの前開き部分が縫製一番難しいです。脇部分の巻縫いによるボコボコしたアタリなどに付加価値が固定化されていますが、縫製する側からすると脇はまっすぐ縫っているだけなのでそんなに難しくはないです。複雑で説明しづらい事は価値になりづらいのかもしれません。

サイドポケットは、2箇所にタック(容量増の為)を入れたフラップ付きパッチポケットです。

この形状のサイドポケットも米軍物でよく採用されているデザインの1つですが、シンプルな所がストリート向きだと僕は思っています。

ですが、米軍物だとポケットの端にマチと呼ばれる仕様を使い、ポケットを立体的にして更に容量が増える作りが多いです。(先程の米軍物カモフラージュカーゴパンツの写真を見てもらえればわかると思います。)

サイドポケット自体も通常の生活の中ではあまり必要ないかもしれませんが、マチを付ける程の容量はオーバースペック気味だと思いますし、簡単に見えて縫製の手間がかかる仕様なので取り入れませんでした。また洗濯を繰り返すうちにくしゃくしゃになってアイロンの手間になってしまったり、ヴィジュアル的にも好みではないのもあってマチ無しの仕様にしています。

マジックテープでの開閉となります。片側は開かないように縫い止めてあるので、マジックテープ側からの開閉となります。

少しマジックテープが小さめですが、サンプルを作って試し履きをしていた時にこれ以上に大きくマジックテープの幅を取ると開閉しづらかったので、実用性から小さめに修正しました。外面的なデザイン以外にも設計や縫製の中からしか出てこないデザインもあります。

バックポケットは切り替え利用のフラップ付きポケット(シームポケット)という作りになっています。名前のまんまですが切り替え部分の縫い目を利用して作るポケットです。

この仕様は今回のパンツで米軍物と唯一大きく異なるデザインになっていますが、差別化の為ではなく効率化の為に採用しました。

米軍物カーゴパンツや良くある4ポケットパンツは切り込み式ポケット(玉淵ポケット)になっていますが、僕にとって玉淵ポケットの縫製は時間がとてもかかる仕様なので時間短縮の為にシームポケットで制作しています。

シームポケットの作り方はDIY ARCHIVESにて説明しています。

バックポケットもサイドポケットと同様にマジックテープでの開閉となります。どちらも隠し縫いという縫製方法で制作しているので、表からはマジックテープが縫い付けてあることが分からないようになっています。また表面から糸が擦り切れる事がないので、マジックテープが取れてしまう事を防ぐ効果もあります。

上記で説明してきたファスナー開き、マジックテープ開閉は米軍物だとボタン開閉の物が多いです。理由としてはボタンだと戦地で破損した時にリペアしやすいからであると聞いたことがありますが、普段使いでは毎回ボタンを何箇所も閉めるのは面倒くさいのでファスナー、マジックテープ開閉の簡易的に着脱できる仕様で制作しています。

僕は過去履いていたカーゴパンツは全てボタン開閉だったのですが、初めてボタンを外してから前開き以外は一度も閉じた覚えがありません。。

縫製の効率化を出来るだけ行なっているのは、時間短縮の為だけではなく効率化された物自体が好きだからというのもあります。服の世界では非効率な物が付加価値が高いとされていますが、効率的な物は必然的にシンプルになるのが好きです。

ベルトの両脇にサイズ調整可能なアジャスターを縫い付けています。この仕様は米軍物とほぼ同様です。片側最大8cm程絞ることが出来、ベルト無しでの着用も可能です。

ウエストの3サイズ展開を今回は5cm刻みではなく4cm刻みで、Lから92cm,88cm,84cmとしています。過去はウエスト80cm位をSサイズとしていましたがカーゴパンツをゆとりなしで履くことはあまりないと思い、ウエスト寸法を上げています。あえて大きなサイズを選んで、ウエストを絞って履くようなスタイルも良いかと思います。

膝部分に補強の為にもう一枚生地を縫い付けて二重構造(ダブルニー)仕様にしています。このダブルニーは表から縫い付けてあることが多いですが、今回はわざと裏から縫い付けています。理由としては尻当て同様にヴィジュアル的に好みではないからです。

ワークパンツなど4ポケットパンツのダブルニーは好みな仕様なのですが、サイドポケットも重なってくるカーゴパンツのデザインでは生地が表に重なり過ぎるので、その点をスッキリとさせる為に裏からの補強を行っています。

膝部分は通常の生活の中でも負担がかかり、破れやすい箇所なのでダブルニー自体は実用性として必要と捉え採用しました。通常の生活に対して実用性があるのに、ヴィジュアル面を重視して仕様を排除することはしないようにしています。

表に縫い付ける生地を裏に縫い付けただけで効力は同様、大した事でもないのですが、裏ダブルニー(と呼んでいます)は僕は見たことがない仕様で、珍仕様だと思います。

裾にヒモを通してあるので縛って履く事が可能です。この仕様も米軍物カーゴパンツであれば、ほぼ採用されている仕様です。裾のサイドにヒモを通してある事も多いですが、縛りやすい、縛った時にキレイという理由から前中心部分にヒモを通しています。必要でなければヒモは抜き取れます。

パンツの裏の作りに関してですが、縫い合わせた箇所の端は全てロックミシンを使用して処理し、股、股下、脇、切り替え部分の負荷がかかり易い縫い端にはダブルステッチ(間隔を開けて2本ステッチを縫い、止める)を施しています。

ロックミシンやポケット布に押してあるスタンプに関しては前回制作したFull-Zip Work Shirtで説明しているので気になる方はそちらでご覧ください。

洗濯による縮みの検証をしてみましたが、家庭用洗濯機脱水まででウエスト、股下丈共に1cm程の縮みがありましたが、履いているとまた生地が伸びてくるので気にするほどではないと思います。

余談ですが生地には縮率表という洗濯をするとどれくらい縮むのかという実験データがあり、僕の場合縮率が大きい時は設計の段階で縮み分量を加算した設計図(パターン)を作っています。

171cm、62kgの友達がMサイズを着用しています。ウエストは余っていますが、アジャスターで絞って履いています。

上記で説明しましたが、ヒップ周りには運動量を残してゆとりを持たせ、股下から裾まではかなりテーパードを入れ足元がダボつかないよう設計しています。

裾巾は狭めに設定しているのでよほど腰履きしない限り、裾を地面に擦ることはないと思います。全体がボロボロになったら裾をカットして短パンにして履くのも良いかと思います。

またロールアップして履かれる事もオススメです。僕ははくるぶしが見えるか見えないか位にロールアップするのが好きなので、そんな履き方をしています。

一応ルック写真です。友達が新宿駅をブラついているのを撮っただけで特に意味はありません。適当という訳ではなくこういうのが好きなので。。現実より大きく、良く見せないようにとは心がけています。

以上で商品説明は終わりです。

毎回だいぶ長く小難しい説明をしていますが、今の時代、目で見える範囲の知識はインターネットの普及で専門家も素人も遜色ない情報を持っていると思うので、目で見えない範囲の情報や、ここでしか知り得ない情報を掲載したいと考えています。

よろしくお願いします。

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