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Full-Zip Work Shirt


ファスナー開きの半袖ワークシャツの発売を開始しました。

今回デザインから縫製仕上げまでの全工程を自分でやってみようと思いまして、昨年末から取り掛かっていたのですが、他にも色々と働いていたら製作が遅れ発売が遅くなってしまいました。。25着程製作しました、次回生産時はもっとスムーズに製作出来るように頑張りたいです。下記製品説明になります。

デザインの元手はアメリカのワークウェアブランドBEN DAVISのハーフジップ半袖シャツです。そのシャツが好きで着用していたのですが身幅が大きすぎる事が気になっていて、これはハーフジップであることと作業着であること(過去ハーフジップシャツを製作した時に理解しました)から仕方がない事なのですが、BEN DAVISの身幅の修正という点からデザインをスタートさせました。ですので身幅以外はかなりBEN DAVISのシルエットに寄せています。ほどいてパターンを抜き取ったりはしていないですが、実物を見ながら身幅の修正に全体を合わせて調整しながらシルエットを設計しました。

(因みに僕の着ていたBEN DAVISのLサイズの身幅は一周129cmでした。製作したLサイズの身幅は一周122cmで−7cm減です。)

とは言ってもハーフジップの半袖をサンプリングした物ならBEN DAVISや古着で十分なので、違う形で定番化出来るものが出来ないかと考えて、フルジップの着脱の容易さ、ポケットを増やし収納力増と普段着として楽なようにディテールを変えてデザインしました。

コンビニのユニフォームにフルジップのシャツが多く採用されているのはそういった使いやすさから選ばれているのではないかなと作りながら考えていました。実際ファミリーマートでアルバイトをしていた事があるのですが、非常に楽に着れるユニフォームでした。

自分が着ないモノは作りませんがこのデザインは怪しいと思ったので、ありなのか、なしなのか半信半疑で製作していました、サンプルを作ってダメなら封印しようかなと思っていましたが、出来上がりを着てみてすんなりと自分の中ではありでした。コンビニで働いていたからでしょうか、、

ちなみに昔からありかなしかの基準はDICKIESのワークパンツと合うかどうかです。

綿100%のヒッコリーストライプ(ストライプの縞はネイビーです)と、ネップヘリンボン(ネイビー)生地を使用しています。厚みのある生地です。30番手のポリエステル糸で縫製しています。通常使いの60番手に比べて30番手は少し太い糸と認識して貰えればと思います。

後ろ身頃はヨークやタックなどは入れずに袖周りにゆとりを取り運動量をまかないました。シンプルなデザインである事を心掛けましたが、縫製を簡易化させることが一番の理由です。

袖の根元、肩、脇などにステッチミシンを入れていません。縫製時間を削減する目的もありますが、ステッチミシンを入れない事によりカッチリした見た目の印象にならないようにしました。

衿は1枚仕立てで台衿のないシャツカラー仕様になります。衿の内部には接着芯という補強+形状維持をする薄い生地を貼付けるのが通常なのですが、使用している生地に厚みがあり芯を必要としない事と接着芯を貼らないことでキッチリし過ぎた衿にしない為に今回は接着芯を使用しませんでした。

ファスナーは務歯見せと呼ばれるコイルの際を縫って取り付ける方法で縫製しています。コイル部分が見える事によって外観のアクセントとしています。

胸ポケットにネームを縫い付けています。余談ですがネームのデザインはRはRUSTICのR、三角形が坂、黒い背景は夜を表しています。

柄がある服は左右、縦横、ポケットなどで柄を合わす柄合わせという作業があります。生地の裁断時に柄が合うように考えて裁断します。縫製時に縫いズレが起きるので完璧に柄が合っているとは言い切れませんが、出来るだけ柄を合わせました。

胸ポケット内部にはライターポケットを配しています。このディテールはRUSTICのシャツ全てに縫い付けてあるディテールです。自分がライターをよく無くすので考えたギャグのようなディテールです。タバコを吸わない方はガムを入れたり、もしくは無視して下さい。昔の服には、このような変てこなディテールがちょこちょこあって好きです。

右腹部の大バッチポケットは端をスティッチで区切りペン差しのディテールを配しています。

ファスナーの縫製について一つ、ファスナーは縫い付けると縮みが起きます。見た目でいうと波打つような形になります。この波打ちを抑える為の色んな縫製方法がありますが、今回はストレートテープという伸び止めテープをファスナー裏に貼って縫製し縮みを軽減させています。詳しくはDIY ARCHIVESにて説明しています。

縮みの話続きで洗濯による全体の縮みをみてみました。洗い方にもよると思いますが通常家庭用洗濯機の脱水まででヒッコリー、ネイビーヘリンボーン共に縦横1cm未満でしたので洗濯後の縮みは気にしないで良い位だと思います。

服の裏についてですが、今回は縫い合わせた生地の端の処理にロックミシンと呼ばれるミシンを使用しました。オレンジ色の糸の部分です。このミシンは縫製を簡易化させる為に作られた比較的に新しい技術なのですが、日本製のクオリティーには昔の難しかったり、手の掛かる縫製方法が付加価値として存在しているので、このロックミシン仕立ては日本製の基準では安物の仕様とされていると思います。

ですがBEN DAVISのハーフジップシャツのみならずDICKIESなどの近年のワークウェアはロックミシンで縫製されています。それがワークウェアであること、また実際に使用してみて感じるのはそれで十分なクオリティーではないのかなと思います。僕は難しい、簡単云々は関係なくロックミシンの見た目も好きです。

オレンジ色の糸を使用しているのは遊びです。結構好きな色なのですが中々メインで着用するのは気が引けるので裏にアクセント程度に。。

ポケット裏に昔製作したスタンプを押してみました。ドイツのインダストリアルデザイナー、ディーター・ラムス氏の受け売りというか、そのまんまですがグッドデザインの10の原則という考え方の内の一つ、Good design is long-lasting.It avoids being fashionable and therefore never appears antiquated.Unlike fashionable design, it lasts many years- even in today's throwaway society.(恒久的であること)という内容です。気になる方は検索してみて下さい、すぐ出てきます。生地にスタンプを押すのは難しく少し滲んでいますが僕が縫製した印として捉えてもらえれば、、と思います。

僕は動きやすく楽なので半袖シャツが好きなのですが、上記のようにサーマル+Tシャツ+半袖シャツなど重ね着をする事で、春や秋にも年中対応出来るのではないかと思います。個人的な好みですが僕はそうしています。。

サイズ展開はS,M,Lサイズの3サイズ展開です。Lサイズを基準に着丈、身幅、肩幅、袖丈、首周り、袖周り等をシルエットが変わらないように均等に縮小しサイズ展開しています。衿、ポケットの大きさは全サイズ同一です。

Tシャツを一緒に作ったりしている友達の河野君にモデルをお願いしました。普段通り家で絵を描いている所を撮らせてもらいました。僕は外国人のモデルさんが着ているブランドの広告を見て、自分が着ている想像が全然出来ない、、と思っていたので想像がつき易い日本の友達にいつも頼んでいます。

178cm、68kgでLサイズを着用しています。

友達の花屋さんで仕事中に撮影させて貰いました。彼はお店でユニフォームとしてこのシャツを着用してくれています。本当にワークウェアとして使用されている事はとても嬉しいです。僕は作業着として企業に向けて製作している訳ではないので、結果ファッションなのですが出来るだけ目的に応じたモノを作りたいと思っています。

169cm、58kgでSサイズを着用しています。

現在はカーゴパンツの自社生産に向けて取りかかっています。自分の出来る範囲で縫製が難しいアイテムも製作していきたいと思います。

よろしくお願いします。

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